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広島高等裁判所 昭和54年(ネ)83号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一本件仮処分申請についての管轄裁判所につき検討する。

1 本件申請は、山口県熊毛郡熊毛町所在の土地三筆につき控訴人に所有権があるとして、その所有権登記名義人である被控訴人に対して処分禁止を求めるものである。

2 <証拠>によれば、控訴人を原告、被控訴人を被告とする右土地(ただし、分筆前のものである)等についての所有権確認並びに所有権移転登記手続請求訴訟が右申請に先立つて右土地所在地を管轄する山口地方裁判所徳山支部に提起され(同庁昭和五〇年(ワ)第二〇号事件、前訴という)、係属中であることが認められる。

3 右前訴が本件仮処分申請事件の本案訴訟に当り、仮処分申請事件が本案の第一審管轄裁判所に専属するものである(民訴法七五七条、七六二条、五六三条)ことはいうまでもない。

4 しかし、仮処分申請は本案提起前においてもすることができるところ、ある仮処分申請事件についての本案訴訟は必ずしも一個に限られるものではないので、既に一個の本案訴訟が係属していることを理由として、直ちに、仮処分申請は右本案の係属裁判所に限定されるということはできない。

5 本件仮処分申請事件についてはその本案訴訟は前訴の一個に限られるものではないので、本件仮処分申請後に被控訴人(仮処分債務者)の普通裁判籍のある広島地方裁判所にも本案訴訟を提起することは当初から予想することができ、<証拠>によれば、控訴人は、被控訴人を相手方として昭和五四年三月下旬に同裁判所に対して本件三筆の土地に関し山林境界確認請求事件を提訴(後訴という)していることが認められ、右後訴も本件仮処分申請事件に関する本案訴訟と解せられる。

6 そうすると、広島地方裁判所も本件仮処分申請事件につき、本案の管轄裁判所として、管轄権を有するものというべきである。

(辻川利正 梶本俊明 出嵜正清)

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